届けることはない手紙を
日常的に書く癖がある。
宛先は色々。
親、兄弟、友人、顔も知らない人
住所さえ名前さえ知らないことも、しばしば。
紙に穴が開くほど感情的にぐちゃぐちゃに書きなぐることも、
ひとつひとつ言葉を選んで一画ずつ丁寧に紙に置くことも、
しばしば。
そういう時は大抵、
誰かを想い、涙して寝る。
穏やかで、健やかなる明日が
誰かに訪れるようにと
祈って。
自分勝手に、祈って。
また狭い部屋の隅に、埃と一緒に手紙がたまる。
真の宛先へ届く時、
それは僕が死んだ時だ。