どうでもいいこと

あなたにとってはどうでもいいこと。

破片

ちょっと昔、お母さんが言ったこと

 

 

「お父さんと結婚したのは失敗だったけど、

あなたが生まれてきてくれたから

これで良かったと思ってる。」

 

 

 

 

 

私は笑って ありがとう と言ったけど、

 

本当は それは違う と思ってた

 

 

 

 

 

 

 

私が生まれなかった世界では

 

“私が生まれなくて残念”

 

なんて気持ちは存在しないんだよ

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

生まれてきて、ごめんなさい

ツキイチ

知らない間に蝉の声は聞こえなくなっていて

 

 

私の大嫌いな夏が終わりを迎えようとしている

 

 

 

 

 

 この数ヶ月で私の周りの空気と

私自身は大きく変わっていると感じる

 

 

 

 

 

ふと思い出して左腕をみると、

ちょっと前まであった黒く汚い傷跡が ほとんど分からないぐらい消えていた

 

 

 

 

 

嫌でも進む時間と変わる環境のおかげで、私は変わった

 

 

 

はたして大人になれているのかは分からないが

 

 

 

まだ大人になりたくない気持ち

大人にならなきゃいけない環境

大人になってしまった身体

 

 

全部がばらばらで壊れてしまいそうだ

 

 

 

 

 

 

あージンジャーエールが飲みたい。

うるさい

「 がんばれ がんばれ、

 

 

応援してる。

 

 

あなたならヤレるよ、

 

 

大丈夫だから。」

 

 

 

 

大丈夫じゃないかもしれないのに

ヤレないかもしれないのに

 

 

ましてや本人でもない人が

 

なぜそんなことを言えるの?

 

 

 

 

 

なぜ??

 

 

 

 

 

 

うるさいなー もう。

 

 

頑張れなんていくらでも言える

 

 

 

 

 

 

 

 

無責任な頑張れはいらない。

大きな手のひらのうえでコロコロ転がして

 

 

 

 

飽きたらきっと握りつぶす

 

 

 

 

指と指の間から垂れ 流れる赤い血は

腕をつたって肘から地面に落ちる

 

 

 

 

十年後、二十年後、何年後かに握りつぶしたことを後悔すればいい

 

 

気づいた時にはもう血は固く乾いて茶色くなって、洗っても洗ってもとれやしない

 

 

 

 

 

後悔すればいい。

いつかの話

眩しくて前が見えなかった

 

 

 

 

前を歩く君の影を見るのが精一杯だった

 

 

 

 

 

夕方は好き

離れたところにいる君の影が、僕の足元に届きそうなくらい長く伸びるから

 

 

 

 

 

近くにいる気がするから

 

 

 

 

 

 

本当は眩しくて君のシルエットをぼんやりと見ることしか出来ないけど。

どこかで見たような

あの人は私と友達になってくれるって言ってくれた

 

 

あの人は私のこと忘れないって言ってくれた

 

 

あの人は私のこと素敵で好きって言ってくれた

 

 

 

 

 

 

 

 

それでもあの人は 今私が死んだら私が死んだことを知らずに生きていく

 

 

 

 

遠い

 

 

 

 

残念

 

 

 

 

 

さようなら。

ふと感じた違和感はいつまでたっても頭の中から消えず、視界の隅にいる虫のように 静かに私を威圧する

 

 

 

小さな後悔はどんどん大きく膨れ上がって

きっと押しつぶされてしまうんだろう

 

 

それでも私にはどうしようもない

どうにか出来る勇気も根性もない

ただの出来損ない

 

 

こんなに苦しむんだったら、違和感に気付かなければ良かったとさえ思ってしまう

 

 

情けない

 

 

 

 

 

 

 

学校からの帰り道

信号がない道を選んで入った小道の脇には、

黄色いショベルカーとたくさんの瓦礫が散らばった土地がある

 

 

つい最近まで気にもとめなかった場所

 

先週辺りから突然 大きな布のようなもので被せられた建物があった場所

 

 

何か建物が建っていたという事は分かるのに、

何が建っていたのかまでは分からない

 

 

 

 

いつかそんな違和感は消えて無くなる

違和感があったことさえ忘れてしまう

 

 

 

 

 

 

私もきっとそんな存在

 

また少し不安と後悔が大きくなったのが分かった

 

 

 

 

 

 

小さな箱の中で カタツムリが潰れるような音が聞こえた