崩れ床に落ちたファンデが流れ星みたいで
自分が女だったことを思い出した
いつからか虫を素手で触れなくなってしまった
「可愛い」が「気持ち悪い」に変わった
僕の思い出には靄がかかって
鮮やかさがなくなっていった
洗剤で一瞬
腹をこちらに向けて死んだあの虫は
何を思ったんだろう
姿勢が悪く俯き気味のまま歩く足は
僕の意思とは遠いところで動いてても
靴底が削れているのか
慎重に歩かないとこけそうなぐらい
僕はしっかりと地につけて歩いた
伸びた前髪を揺らして それ越しに見る景色は割と好きだ
あと世界が滅亡するか
自分が死ぬかぐらいしたら
この世の全てを好きになれそう
文字通り全てを。
ただ今は嫌い
全部死ねばいいのに