小学生の時の話
雨がやっと上がった朝
確か、曇り空で薄暗く所々に水たまりがまだあって
また降り出すかもしれないと思って
好きでもないキャラクターがプリントされた傘をもって外に出た
兄と 近所に住む兄の友達と一緒に学校に行く途中
会話に夢中で気づかなかったの
そこにカタツムリがいたこと
遅かった
足に伝わる軽い感触と共に聞こえる
「クシャ」
という音
私だけだった
そこにカタツムリがいたことも
そのカタツムリを私が踏んだことも
知っているのは
潰れたカタツムリはなんとなく緑っぽかった気がする
何も言わずに
その場を離れた
笑いあって会話も続けて
あの時あの場所で私がカタツムリを踏んだことを知っているのは
私だけ
台風が過ぎようとしている
静かに雨が降る
今、頭の中に何度も響く
何度も何度も何度も
いまさら
クシャ