どうでもいいこと

ただどうでもいいことを爆発させるところ

芋虫さん

頭の良くて美人のあの子は

高校を中退した

 

 

中学で同じ部活だった

 

 

 

大きな金色のバリトンサックスを吹いていた

 

 

 

ところどころに錆びついた楽器

 

地面が揺れるほどのひび割れた低い音を出して

 

少し離れた私の内臓を痺れさせた

 

 

 

低い音とは裏腹に高い音で笑うその声は

 

脳みそに直接カンカン響いて

 

時々嫌になるほどだった

 

 

 

 

勉強もできて

顔も良くて

背も高くすらっとしてて

おまけに英語が話せる

音感だって良くて

 

 

それでもその子が好きだったのは

口が悪かったから。

 

 

その点においては

私に似てると思ったから。

 

 

 

彼女から勧められて初めて聞いた

神聖かまってちゃん」というバンドは

攻撃的で粗々しくも 悲しさを兼ね備えている音楽で

 

ふとした時に思い出す。

 

ききたくなる。

 

彼女を思い出してはきいている。

 

きいては思い出す。

 

 

いつのまにかLINEを退会していて

もう連絡ができなくなってしまった彼女

 

 

 

久しぶりに会いたい

 

元気でなくてもいいから

 

元気でない彼女を見て

思いっきり笑ってやりたい

 

やせていた体がますますゲッソリしているのを

あるいは

ぶくぶくに太っている姿をみて

馬鹿にしてやりたい

 

 

 

 

安心したい。

 

 

 

最後に会った彼女の左手首に

長細く朱色に腫れた傷があったのを

覚えている。